アメリカの南部に住む、無名の主婦、マーガレット・
ミッチェルが発表のあてもなく書き続けた大長編が、偶然に出版社の人間の目
にとまった、というような感じで出版になったという事になっているのが一般的です
初版は2万半ば位の部数だったと言われていますが、これまでに世界各国に翻訳され、総計1600万部以上を売っているそうです。
しかし、文庫本で全5巻にもなる大長編が、本当に「偶然」だけで出版され
ベストセラーになっちゃうものなのでしょうか?
このサクセスストーリーにも、その映画化に当たってのビビアン・リーの抜
擢をめぐる話と同様に、それなりのウラがあるようです。
まず、ミッチェルがこれを書いたのは、「発表のあてもなく」ではなかった。
そもそも、彼女は「無名の主婦」でもなく、アトランタでは名の知られた新聞
記者だった。
つまり、「業界の人」だったわけで、その気になればいつでも本にするルー
トは持っていたと考えられる。
記者をやめた後も、当然、記者時代の知人達とは親交があり、ほとんどの人
が、彼女が南部を舞台とした大長編小説を書いていることを知っていた。
皆、彼女がいつ、どこから出版するのかに注目していたのだ。そんな知人の
ひとりが、マクミラン社の編集者達にそのことを話した。
その時点で小説はほぼ完成していて、最初は固辞していたものの、ミッチェ
ルは編集者に託した。タイトルは『タラへの道』で、ヒロインの名前もパンジ
ーとなっていた。それが『風と共に去りぬ』として出版されるまでには、全編
にわたって、かなり書き直されたという。当時のアメリカ出版界には、すでに
「ベストセラーの方程式」なるものが確立されていて、それに従って書き直し
作業が行われていたわけだ。
そうして用意万端整ったところで出版され、かなりの宣伝費も投入され、ベ
ストセラーとなった。出版前の校正刷りが映画会社に持ち込まれ、映画化が決
まったのも、有名な話だ。
『風と共に去りぬ』をめぐる話は、偶然が重なってのサクセスストーリーで
はなく、成功すべくして成功した、計算しつくされた話のようだ・・・